ご挨拶
岡本 仁
第42回日本神経科学大会 大会長
(理化学研究所 脳神経科学研究センター)
那波 宏之
第62回日本神経化学会大会 大会長
(新潟大学 脳研究所)
この度、第42回日本神経科学大会と第62回日本神経化学会大会の合同大会をNEURO2019と名付けて、2019年7月25日(木)から28日(日)にかけて新潟朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター(新潟市)で開催する運びとなりました。日本神経科学会と日本神経化学会の合同大会は、2013年の京都大会より数えて6年ぶりとなります。
かつてヒト脳や神経の動作原理を理解しようと日本神経科学会は神経生理学を基盤に、神経化学会は神経化学を基盤に両学会は数十年前に発足し、これまでそれぞれの道を歩んできました。しかし昨今、ヒト脳科学研究や基盤神経研究はおおきな広がりを見せ、生物学や医学、薬学はもとより経済学、心理学、情報工学、システム工学、教育学、化学を巻き込んで、脳科学から社会行動や経済現象のシミュレーションを行おうとしています。まさに脳科学、神経研究はボーダーレス化しています。このようなときに、多角的、学際的な学問の融合を目指して本合同大会NEURO2019を企画しました。
脳を構成する神経細胞・グリア細胞の分子操作技術、神経回路の操作技術、ヒト脳活動の可視化技術、計算論的脳科学などの飛躍的発展によって、現代の脳科学では神経系細胞の集合体が「こころ」の様々な諸機能をどのようにして生み出すのかを理解すること、また、病態としての神経・精神疾患の原因を究明し治療法を探ることが可能となってきました。このように人類が脳の働きを根本的に解明できる素地が整ったことを踏まえて、世界では脳研究を飛躍的に進展させるための脳科学推進政策が取られています。
このように神経科学や神経化学研究の展開がグローバル化している情勢の中で、NEURO2019では、日本神経科学会と日本神経化学会が協力して本合同大会を組織し、将来の更なる「飛翔する脳科学:命と心の接点」というスローガンを掲げて、脳科学の現在の最前線を俯瞰した上で、将来への展望を議論できる場所を提供したいと考えています。そのため、NEURO2019では、従来の外国人研究者のプレナリー講演、国内の著名研究者の特別講演、臨床連携プログラムに加え、若手の育成を重点事項と捕らえ、口頭発表枠の拡充、加えて教育セミナー、若手道場を計画し、初心者から大学院生や研究員にいたるまで、基礎知識から先端領域への幅広い学びと討論の機会を設定します。
近年は酷暑が続いておりますので、ぜひ身軽な格好で新潟へお越しいただけますと幸いです。皆さまからのたくさんのご投稿、ご参加をお待ちしております。